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エンジニアから部長になって学び直した5つの大事なこと

この記事はコインチェック株式会社(以下、コインチェック)のアドベントカレンダー20日目(シリーズ2)の記事です。

こんにちは。コインチェックのCrypto Asset事業本部でブロックチェーンシステム部長をしている蓮見と申します。

ブロックチェーンシステム部では、暗号資産入出金システムの開発や、取扱い暗号資産のモニタリング、新規暗号資産取扱いプロジェクトのPjMに責任を持っています。

僕はコインチェックに一介のバックエンドエンジニアとして入社しましたが、巡り巡って現在は部長として奔走しています。

エンジニアから事業部長になるケースはそう多くもないと思うので、どういったことに取り組んでいたのか、部長になってから見えた景色はどうだったかについて自分なりの視点で紹介したいと思います。


TL;DR

結構長くなったので5つのことのサマリと内部リンクを記載します。

  1. 現場の問題解決を最前線で共にやり切る、相互信頼を獲得する

  2. 任せる、委譲する、頼る

  3. 意思決定・取捨選択を明示的に意思表示する

  4. 組織や業務のルールを理解し、業務プロセスそのものを改善する

  5. 経営と部室運営とエンゲージメント

コインチェックでの生い立ち

本題に入る前にコインチェックでの生い立ちについて軽く紹介させてください。

入社当初は、せっかくコインチェックに入社したので、フィンテックっぽい業務に携わりたいと思っていました。丁度それくらいのタイミングで、日本円の入出金システムの開発の責務を持つグループが爆誕したので、所属表明し、銀行入出金API周りの開発を経験することができました。

その後、せっかくコインチェックに入社したので、暗号資産の開発に携わりたいと思っていました。丁度それくらいのタイミングで、「NFTマーケットプレイスの立ち上げ」プロジェクトが発足しました。NFTを外部に送付できるようにする開発タスクがあったので、手を挙げて任せてもらいました。

その後、せっかくコインチェックに入社したし、NFTの開発が楽しかったので、暗号資産の開発に本格的に携わりたいと思うようになりました。丁度それくらいのタイミングで、「社内留学」プロジェクトが発足したことで開発に関わるようになりました。(実験的な制度で現在はない制度ですが、ゆるふわ兼務みたいな感じです)

その後は、暗号資産入出金システムの開発グループに専念することになり、グループリーダーを約1年ほど務めた後に、「決算システム・リスティング部長」を拝命しました。

ダイバーシティな管掌範囲

決算システム・リスティング部では、発足当時次の①〜③のグループで構成されていました。

  • ①暗号資産入出金システムに責任を持つグループ

  • ②取扱い暗号資産のモニタリングや新規暗号資産上場プロジェクトのPjMに責任を持つグループ

  • ③日本円入出金システムや決算システムに責任を持つグループ

  • (④法令対応をリードするグループ ※後述します)

暗号資産取引所を運営するためには法令に準じたシステムや体制の構築が必要です。2023年9月当時は法令案件が多く問題が複雑化しており、会社の課題になっていました。

そのため2024年5月に ④法令対応をリードする グループ を事業本部で立ち上げ、決算システム・リスティング部配下で運営するようになりました。(※2024年10月以降は、会社の「ダブル&ハーフ」戦略で選択と集中をするために、①と②のみに責任を持つ「ブロックチェーンシステム部」に改変しています)


上記①〜④は、見ての通り(?)専門性がバラバラであるため、各ドメインごとに異なるスキルや業務遂行が求められました。

部長になって学び直した5つの大事なこと

そんなこんなで部長という役割を正しくスピーディに実行するために、様々なトライアンドエラーを繰り返してきました。その取り組みの中で得た経験や大事だな〜と実感した事柄をかいつまんで紹介したいと思います。

現場の問題解決を最前線で共にやり切る、相互信頼を獲得する

決算システム・リスティング部発足当初、僕は②のモニタリングについての業務解像度が低く、現場のメンバーが具体的にどういった業務をやっていて、何に困ってるのかを把握し切れていない状態でした。

そのため、複数のプロジェクトを一緒に並走して課題を解決したり、昼会等を始めとした同期的なコミュニケーションの頻度をかなり増やしました。

鶏卵の話かもですが、適切な意思決定をするためには、意思決定する事柄に対して深く理解していることが大事な観点の一つかと思います。また、暗号資産業界は比較的変化が早い業界であり、現場に近い部長陣が迅速かつ適切な意思決定を求められる機会も多いです。

2023年9月以降は、取扱い暗号資産において可及的速やかな対応が求められるプロジェクトや法令対応が同時多発的に勃興したということもあり、結果的に業務にオンボーディングしてもらう機会が沢山ありました。今思うと良くも悪くもフルボッコにされてましたね。

そういった機会を沢山得られたことで、業務解像度を必然的に高まることができました。また、社内のステークホルダーと苦難を共に乗り越える機会が多くあったことで、部室全体の成果創出と部内メンバーの信頼構築に繋がったと思っています。

部長だから、マネジメントが本業だからと言った理由で業務に線引をするのではなく、会社や部内の問題を自分ごとで捉え問題解決にチーム一丸となって立ち向かい、業務の肌感覚や相互信頼を獲得できたことは大きなやりがいのひとつでした。

任せる、委譲する、頼る

上記にて同時多発的なプロジェクトをやり切れたと記載しましたが、これはひとえに各グループのリーダーを筆頭としたメンバーのオーナーシップやコミットがあったが故に達成できたものでした。

優秀なグループリーダーやメンバーだからこそ、難易度が高い課題であったとしてもやり切れると信じて仕事を任せることができます。とはいえ問題にぶち当たって良い解決策が出ないときは、共に解決策を考えたり、役割分担することで、日々課題解決に向けて前進していることに努めました。

また、僕自身はエンジニアリングの知見はそれなりにあってもBizサイドの知見は現場メンバーの方が高いことも多く、現場のメンバーの知見や提案に頼ることも多々ありました。現在進行系で進化しているプロダクトへの造詣は現場メンバーの方が最新の状態のため深かったり、細部への考慮が行き届いていたりするのもその理由の一つです。

任せることに関して、適切な難易度のタスクを振ったり僕自身が加担するジャッジポイントの見極めに伸びしろはあるかと思いますが、「任せる→チャレンジする→成果出す→成長する→仕事がより楽しくなる」といった好循環なサイクルを今後も醸成していけたらなと思います。

意思決定・取捨選択を明示的に意思表示する

部長になって明確に機会が増えたのはやはり「意思決定」の頻度とその対象領域の拡大でした。

当社はフィーチャー組織型の事業本部制を採用していて、母体のCrypto Asset事業本部には販売所事業部や取引所事業部といった各サービスドメイン毎の事業部と機能部に分かれています。

ブロックチェーンシステム部は、取扱い暗号資産に関わる事業をする機会が多く、暗号資産のライフサイクルを司っている機能部のような感じです。

そのため、他の事業部や、法務コンプライアンス本部といった他の本部と一緒に仕事をする機会が多く発生します。同じ会社の中でも関心や責務が異なる部門と協力して事業を作り上げていく必要があるので、高いドメイン知識やコミュニケーションスキルが求められ、ステークホルダーと合意形成したうえで意思決定し、事業を前に進める機会が多くありました。

また、どうしても実現が難しいときは明確に「辞める」決断をしたり、期限に間に合わせるためにハードなコミットをメンバーに求める機会もあります。そういうときには結局、部長自らがどれだけ課題に対して物理的にも心理的にもコミットしているかが大事だと思っていて、何とか課題が解決するように色んな方の協力を仰ぎながら取り組みました。その甲斐かメンバーも発起して共に解決に向けて協力してくれていて、信頼できるメンバーがいてくれることに感謝です。

事業を運営していると悩んだり目を背けたくなることも多いですが、決めたり意思決定することは部長ならではの役割の一つかと思うので、いい経験をさせてもらっています。

組織や業務のルールを理解し、業務プロセスそのものを改善する

部長になったことで組織や業務の仕組みに目を向ける機会も増えました。「なぜこのようなルールになっているのか」、「このルールが作られた背景は何か」といったことに向き合っていると、当時は必要だったが現在は別のルールがあるため不要な仕組みになっていることを発見するケースもあるかと思います。

会社の規程もそのルールの一つかと思います。規程を変更するためには、当社では事業本部長の承認を得たり、必要に応じて経営会議に上程して役員の承認をもらう必要があります。規程を変更するという行為は、エンジニアのときには経験してこなかった分野なので、経営に近い業務をしているなと思います。

エンジニアのときはプロダクト自体の改善を行っている感覚でしたが、部長になったことで業務プロセスやルールメイクといった会社の仕組みそのものをアップデートしていく感覚に変化しました。これはこれでまた違った角度の「モノづくり」をしているような感覚になれるため、新鮮でやりがいのある業務のひとつとなっています。

経営と部室運営とエンゲージメント

最後に目標設定や部内運用について紹介します。

ブロックチェーンシステム部が所属するCrypto Asset事業本部では、中期経営計画に紐づける形でロードマップとOKRの運用をしています。各事業部は部室ごとの部室目標を設定し、OKRは原則部室目標に紐づける形で設定しています。部室目標は一定抽象度が高い内容に対し、四半期毎に定量/定性な具体なOKRを立てています。会社の目標から逆算して我々は何をコミットするかを掲げるのですが、各メンバーひとりひとりがコミットしたくなるような野心的な目標になるように心掛けています。

例えばブロックチェーンシステム部は、暗号資産の入出金システムの責務を持っているので、取扱い暗号資産を増やすといった攻めな目標だけでなく、技術負債を減らして開発の負を減らしていくような守りの目標の2軸で掲げています。

目標達成に向けてコミットしようと動いてくれるメンバーの存在は特に大事で、グループリーダーとは隔週で1on1を実施し、部内メンバーとは少なくとも四半期に一度は1on1を実施しています(タイミングが合えば昼会などに出て現在進行系の業務や困っていることをキャッチアップしたり雑談したりしています)。グループリーダーは隔週でメンバーと1on1を実施してくれており、グループの業務状況や困っていることを同期できるよう週次で部長×グループリーダー会を実施しています。

こういった縦と横の定期的な同期機会を作ることで、メンバーの志向性をフォローアップしたり、困っていることに一緒に立ち向かう時間を取れています。サポートする仕組みがあることでメンバーの働くモチベーションが向上したり成果向上に寄与できるように、今後もサーヴァントな取り組みを増やしていきたいと思います。

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。(意外と書いてみたら長くなってしまいました)

読んでいただいた方にとって何らかの気付きや学びになっていたら幸いです。

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