見出し画像

【信頼とアジリティで切り拓く未来】コインチェック販売所事業部の挑戦

2022年4月にコインチェック株式会社に入社し、現在は販売所事業部の部長として組織を率いる大村壮太さん。その背景には「事業会社でプロダクトに深く関わりたい」という強い想いがありました。本記事では、大村さんのキャリアの歩み、コインチェックでの挑戦、そして未来への展望について深掘りします。


まずは自己紹介をお願いします。

コインチェック株式会社にて、販売所事業部の部長を務めております、大村壮太と申します。販売所のモバイルアプリケーションを通じて提供される一連のサービスの収益管理を統括し、事業責任者として全体の舵取りを行っています。具体的には、アプリの機能改善、事業戦略の策定、チームメンバーの育成など、組織全体をより良い方向へ導く役割を担っています。

コンサルからコインチェックへ ー 挑戦の転換点

コインチェックに入社された経緯についてお聞かせください。

もともとは外資系のコンサルティング企業に在籍しておりました。2019年から約3年間勤務する中で、「コンサルティング以外の領域にも挑戦したい」という思いが強くなり、次のキャリアとして事業会社での勤務を志望するようになりました。
そこで、日頃から利用頻度の高いスマートフォンアプリケーションに着目し、コンシューマー向けプロダクトを扱う企業を中心に転職活動を進めました。結果として、ご縁がありコインチェックに入社することとなりました。

入社当初はどのような部署に配属されたのでしょうか?

2022年の入社当初は、経営企画部に配属となりました。当初、私の役割として期待されていたのは、エンジニアリング組織と経営層の間に存在するコミュニケーションギャップの解消でした。この課題は会社にとって長年の懸案事項であり、私がプロジェクトマネジメントやシステム関連の経験を有していたことから、その橋渡し役としての役割を期待されたものと認識しています。
入社から半年後、CTOに松岡が就任したタイミングでエンジニアリング組織に異動いたしました。ここで初めて、エンジニアチームと直接連携する機会を得ることができ、エンジニアリング組織における業務プロセスを深く学ぶことができました。
その後、松岡CTOのもとで1年間勤務したのち、組織改編が行われ、事業本部制が導入されました。コインチェックの主要な収益源となる事業が集約されたCrypto Asset事業本部の立ち上げに伴い、昨年(2023年)9月にありがたいことに副本部長のポジションを拝命しました。

コインチェック入社前後のギャップはありましたか?

事業会社での勤務、および自社プロダクトを持つ企業への入社は、私にとって初めての経験でした。事前に想像していたのは、コインチェックには最先端の技術に精通したプロフェッショナルが多く、日々アンテナを張り巡らせながら、それを業務に活かしているだろうという点でした。
実際に入社してみると、そのイメージは概ね正しかったと感じています。各メンバーが自身の専門領域を深く理解しており、それを日々の業務に落とし込んでいる姿勢には大いに感銘を受けました。例えば、特定の技術領域に深い知見を有するメンバーが、それをプロジェクトに積極的に活用しているケースが多く見られました。

キャリアの変化と組織課題への取り組み

経営企画部での入社でしたが、プロダクト開発への強い意欲があったのですね。

その通りです。入社当初から「最終的には開発チームやエンジニア、プロジェクトマネージャーと共に業務を遂行したい」という明確な目標を持っていました。
実際にその機会を得られたことは、非常に幸運だったと感じています。入社半年後にエンジニアリングに近いチームへ異動し、さらにプロモーションを経てプロダクトを統括する部門の管理職に就任することができました。これは想定を上回る展開であり、予期せぬ課題や学びにも直面することができ、貴重な経験となっています。

コインチェックの収益の大部分は、暗号資産の売買機能を提供する販売所アプリから生み出されています。そのため、暗号資産の相場に業績が大きく左右されるなど、ビジネスが外部制約を強く受けます出来上がったプロダクトをトラブルなく維持運用し、好況の時に稼ぎ切るということが意思決定の基本でした。結果として、新規性のある取り組みや組織能力の向上といったイニシアチブは劣後する傾向がありました。まずはこの状態を変えて、組織を前のめりな姿勢に変革することが、私にとって重要な課題でした。そのために、明確な目標設定と振り返りのプロセスを導入しました。

2023年9月に副本部長に就任してからは、短期的な目標設定と振り返りの文化を浸透させ、組織学習サイクルを構築することに注力しました。これにより、少しずつではありますが、組織が変化しつつあると実感しています。特に、それぞれが「自身は何を成し遂げたいのか」を考える時間を設けることの重要性が組織内に浸透してきており、個々人の内発的な動機が引き出され、組織全体が前向きなモードへと移行していると感じています。

販売所事業部における現在の課題について教えてください。

現在、課題として認識しているのは、マネジメントレベルの向上が必要であるという点です。上場を果たし、プロダクトを次のステージへと引き上げる必要がある現状においては、組織全体が「挑戦する」姿勢を持つことが求められています。そのため、グループリーダーや部長といったマネジメント層は、これまで以上に、メンバーの成長を引き出しながら、プロダクトの品質向上に貢献するリーダーシップが求められると思っています。

その変化を促進するため、グループリーダーに対しては「メンバーの成長をどのように支援するか」を常に意識するよう繰り返し伝えています。例えば、結果のみを確認するのではなく、各工程における中間成果物の品質を評価し、各人のパフォーマンスに対して解像度を高めることが重要です。また、日々のコミュニケーションを通じて、グループリーダー自身の成長や課題を共有し合い、それを次のアクションに繋げることを意識しています。
さらに、外部企業のベンチマークも進めており、優れたマネジメント手法の導入にも注力しています。例えば、CTO協会が選定する「エンジニアが選ぶ『開発者体験が良い』イメージのある企業」の上位にランクインする企業から学び、最適なマネジメント教育を模索しています。

最終的にどのような組織を目指していますか?

コインチェックを「人材輩出企業」にしたいと考えています。メンバーが自身の成長を実感できる環境を提供し、その成長が組織全体の能力向上に繋がるような仕組みを構築したいと思っています。そのためには、個々のメンバーが積極的に挑戦できる文化を醸成し、新しいことに積極的に取り組む「メンタルな若さ」を組織に取り入れることが重要だと考えています。

発信する文化が組織を変える

組織における「発信」の重要性について、どのようにお考えですか?

発信する文化を組織に根付かせることは、非常に重要だと考えています。自身が得た知識や学びを発信することで、フィードバックを得て、新たな知見を得るという循環が生まれるからです。発信を通じて知識が深まるだけでなく、外部の視点を取り入れるきっかけにもなります。
コインチェックでは、これまで自らの知見を積極的に発信する動きが旺盛とは言えませんでした。この課題を解決するため、発信を奨励し、それを評価する仕組みを導入しました。

私たちが日々利用しているOSS(オープンソースソフトウェア)の世界では、共有地への貢献が基本にあります。コインチェックでも、たとえ小さなものであっても、積極的に知見を外部に共有することを推奨しています。これにより、エンジニアリング組織全体の成長を促し、社内外で信頼を構築できると考えています。

さらに、発信はプロダクトの信頼性を高める役割も果たします。例えば、プロダクトを開発しているメンバーが、どのような考えで、どのような工夫をしているのかを発信することで、エンドユーザーに対して安心感や信頼感を与えることができます。エンドユーザーにとって、製品の背景にあるストーリーや担当者の顔が見えることは重要です。これが「トレーサビリティ」の価値を提供し、プロダクト全体の信頼性向上に繋がります。

また、発信は採用活動にも大きな効果を発揮します。求職者が企業について最初に調べるのは、企業がどのような情報を発信しているかという点です。良質な発信記事は、企業の魅力を伝える重要な資産となります。それは一時的な効果にとどまらず、ウェブ上に蓄積され、時間とともにその価値が高まる「ストック型」の資産となります。このように、発信はエンジニアリング組織の成長だけでなく、プロダクトの信頼性向上、さらには企業の採用力強化にも寄与します。コストパフォーマンスの観点からも優れた手段であり、長期的に見ても非常に大きな価値を生むものだと考えています。

成功循環を生む文化

アドベントカレンダーの実施から見えた「発信」の可能性

今年、コインチェック初となるアドベントカレンダーを実施されましたが、その背景にはどのような意図があったのでしょうか?
アドベントカレンダーの実施については、当初、採用広報担当者が「今年はまだ難しいので、来年挑戦しよう」と考えていたようです。しかし、私が「今年から実施しよう」と後押ししたことで実現しました。
私の仕事に対する哲学として、「小さく始めて、コツコツ当てる」という考え方があります。組織や個人がアジリティ(俊敏性)を持つためには、「今日できることを明日に残さず、一つひとつ積み上げていくこと」が重要だと考えています。このアプローチをアドベントカレンダーにも適用しました。「25記事であれば、200名いる組織の10%が執筆すれば実現可能である」と確信していましたし、実際に声をかければ実現できるだろうと考えていました。慎重に準備を進めて来年に挑戦するという選択肢もありましたが、できるのであれば今すぐ行動に移すべきだと判断し、チームメンバーと共にプロジェクトを推進しました。

結果として、多くのメンバーが賛同し、全枠が早々に埋まりました。このプロセスには、単に記事を公開する以上の意味があったと感じています。組織のメンバーが自身の知識や経験をアウトプットすることで、自然とコミュニケーションが活性化し、相互の信頼関係が深まるきっかけになったと感じています。

組織内には、必ず人的ネットワークのハブとなる人物が存在します。そういった人物を早い段階で巻き込み、推進役として協力を得ることが重要です。彼らの影響力を活用することで、取り組みが広がりやすくなり、成果を出しやすくなると考えています。人事や採用広報の担当者は、ハブとなる人物とのリレーションシップを構築し、「この人のためなら協力したい」と思ってもらえる信頼関係を日頃から築いておくことが大切です。

この信頼関係を支えるのが、「成功循環モデル」における「関係の質」です。このモデルでは、関係の質が思考の質を高め、思考の質が行動の質を向上させ、それが結果の質を改善するという循環を描いています。そして、結果が良くなれば、さらに関係の質が高まるという、ポジティブなサイクルが生まれます。
私が特に重視しているのは、この「関係の質」をいかに高めるかという点です。例えば、普段の小さな会話や気配りが、信頼を積み上げる基礎となります。日々のやり取りの中で「この人の言うことなら信じられる」と思ってもらえる関係を築くことが、組織全体を変える原動力になると考えています。

成功循環モデルとは

特に、アドベントカレンダーのような取り組みでは、この信頼がプロジェクトの成功に直結します。「普段から発信や共有に前向きなメンバーを巻き込む」「彼らのモチベーションを支える」という姿勢が、結果的に多くの人を動かす力になります。

最初に「誰が声を上げるか」も非常に重要です。発言の内容に合理性があっても、関係の質への投資が少なければ、共感の声は上がりづらくなります。一方で、信頼されている人が声を上げれば、同じ提案でも組織を動かす力が大きくなります。これが「信頼貯金」の重要性です。
アドベントカレンダーでは、発信を通じて内外の信頼を高める可能性が示されました。メンバーが自身の学びを共有することで、フィードバックが得られ、さらに知見が広がるという循環が生まれます。このプロセスを通じて、組織は個人の成長を促し、チーム全体の思考や行動の質を向上させることができるでしょう。

この文化を定着させることで、内向きな組織から脱却し、外部と積極的に知見を交換する成長型の組織へと進化していくでしょう。そして、その第一歩となったアドベントカレンダーは、成功循環モデルの実践を象徴する取り組みとして、今後の組織改革の礎となるはずです。

暗号資産に遊び心を ー コインチェックの未来ビジョン

今後のビジョンを教えてください。

コインチェックを「エンタメ性のある暗号資産アプリ」に進化させたいと考えています。暗号資産の運用を、堅苦しい投資としてだけでなく、楽しみながら学べる体験へと変えていきたいと考えています。そのために、ゲーミフィケーションの要素を積極的に取り入れ、ユーザーが毎日使いたくなるような仕掛けを増やしていきたいと考えています。

参考にしている主なアプリは、海外の「Robinhood」などの金融アプリです。特に、初心者でも直感的に使えるUI設計や、アニメーションを活用した分かりやすい機能紹介は、非常に参考になります。また、異業種のアプリケーションからもインスピレーションを得ています。

例えば、フードデリバリーアプリでは、待ち時間をミニゲームで代替する仕組みが導入されています。これにより、ユーザーのストレスが軽減され、むしろ楽しい体験として記憶に残るような工夫がされています。このような手法を取り入れることで、暗号資産の管理や運用も「楽しい体験」へと変えていきたいと考えています。小さな達成感を得られるタスクや、ゲーム感覚で操作できるインターフェースなどを通じて、暗号資産が身近で親しみやすいものになるよう設計していきます。

現在進めているゲーミフィケーションの取り組み

私たちはこの取り組みを「金融エンタメ」と位置づけ、暗号資産の取引や運用を、日常的な楽しみの一部にしていくことを目標としています。この変革を実現するために、組織全体で挑戦を続けていきたいと考えています。

最後に挑戦者へのメッセージ

これまでお話ししたように、コインチェックは今、変革期の真っただ中にあります。この環境で、「見たことのないこと」「やったことのないこと」に挑戦したいと考える方には、ぜひコインチェックの扉を叩いていただきたいです。

私たちは、挑戦を恐れず、新しい価値を生み出すことに喜びを感じる人材を求めています。組織全体で協力しながら、一人ひとりが自身の可能性を広げられる環境を用意しています。もし、あなたが「これは素晴らしい!」と新鮮な気持ちで物事に向き合えるメンタリティをお持ちであれば、コインチェックはまさにあなたの居場所です。
私たちと共に、新しい価値を生み出し、これまでにない暗号資産の未来を創り上げていきましょう。


コインチェックはエンジニア採用強化中です! ぜひ採用サイトにも遊びに来てくださいね。