Coincheck でのゲーミフィケーションの取り組み
この記事はコインチェック株式会社(以下、コインチェック)のアドベントカレンダー14日目(シリーズ1)の記事です。
はじめに
こんにちは!
販売所事業部で iOS エンジニア兼デザイナーをしている髙橋です。
皆さんはゲームはお好きでしょうか?私はご飯を食べるよりゲームが好きで、最近はカードを集めて対戦するゲームや、格ゲーにハマって時間と精神を溶かしています。
Coincheck ではゲーミフィケーションをアプリに取り入れる取り組みをしており、その第一歩としてアニメーションの導入を行っています。
今回はアニメーションの導入とゲーミフィケーションがどのように関係するのか?についてお話しできればと思っています!
ゲーミフィケーションとは?
ゲーミフィケーションの定義
アニメーションとの関係について話す前に、まずはゲーミフィケーションとは何かを少し整理しましょう。
様々な解説や記事を読むとゲーミフィケーションとは「一般的に真面目でしんどく辛い、けれど現実において必要な活動をゲーム要素を取り入れて楽しくやる気にさせる手法」と説明することができそうです。
少し長くつまらない表現になってしまいましたが「一般的に真面目でしんどく辛い、けれど現実において必要な活動」を「勉強」や「運動」などと当てはめるとなんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。
人によっては楽しくて仕方ない!という人もいるかと思いますが大半の人はこれらが退屈、辛いと感じていると思います。
実際の事例として勉強の方では語学学習アプリのDuolingoが、運動の方ではリングフィットアドベンチャーが有名でしょうか。(後者は紛れもないゲームですが...)
これらのアプリやゲームがヒットしていることを鑑みると、勉強も運動も単体で行うのはしんどいけれど、ゲームのようにできるならやってみようという人が多いと考えられそうです。
ゲーム要素とは?
では定義の中にあるゲーム要素とはなんでしょうか?
日本デジタルゲーム学会で発表されている、「ゲーミフィケーションを活用した大学教育の可能性について」という論文に示されている以下の6つがわかりやすかったので、こちらをベースに進めていきたいと思います。
その定義によると以下の6つの要素があるようです
能動的な参加
達成可能な目標設定
称賛の演出
即時フィードバック
成長の可視化
独自性の歓迎
詳細な説明をすると長くなりすぎてしまうので簡単な説明にとどめます。
詳しくはこちらの論文に載っているので深く知りたい方は合わせてご覧ください!
ゲーミフィケーションとやる気
ゲーミフィケーションがゲーム的な要素を取り入れ、人間をやる気にさせる手法というのはご理解いただけたかと思いますが、なぜゲーム要素を取り入れることで人間はやる気になるのでしょうか?
その説明に入る前に、少し人間のやる気というものについてお話ししたいと思います。
二つのやる気
人間には大きく分けて二つのやる気があることで知られています。
「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」です。
平たく言ってしまえば、外発的動機づけは「ご褒美がもらえるからやる」という状態、内発的動機づけは「楽しいから(やりたいから)やる」という状態です。
一般的に外発的動機づけは一時的なやる気とされ、ご褒美などの外部からの刺激がなくなるとやる気を無くしてしまったり、本来好きだからやっていたことでも続けられなくなってしまうといった特徴があります。
一方で内発的動機づけはより本質的で長期間持続するやる気とされ、外部の刺激によらずやる気が続き活動そのものがある種のご褒美のような状態になっている特徴があります。
「もらえるからやる」を「楽しいからやる」へ
上記を踏まえて考えると、ゲーミフィケーションの主な効力はゲーム要素を通じて活動をしてもらうことで、人間のやる気を外発的な動機づけから内発的な動機づけに変化させていくことと考えられそうです。
「何かもらえるからやる」を「楽しいからやる」という状態に持っていくということですね。
外発的動機づけの前には「無気力」という状態もあるので正確には無気力 -> 外発的な動機づけ -> 内発的な動機づけと変化させていくことになります。
どのように変化していくのか、全体の流れを見ながらアニメーションが果たす役割についてお話しできればと思います。
全体は以下のようなサイクルです。
順番に見ていきましょう。
まず人間が何か行動を始めるために欲求や動機が存在します。
例えば Coincheck の場合は主に自分の資産を増やしたいといったものが動機、欲求として考えられます。
次に行動に移す前に、その行動が実際に達成できそうか、欲求に対して効果がありそうかを考えます。
Coincheck での場合は価格が上がりそうな通貨を購入(選択)できるかといったことや、どの程度価格が上がりそうなのかといったことが考えられます。
ここで達成できそう、効果がありそうと感じると人は行動に移し、結果を得ます。
最後に結果を受け取り、それに対して様々な反応をします。
最初の欲求の通りうまく資産を増やせればうまくいって嬉しいという感情や、もっと投資してみようという気分になり、次の行動につながるかもしれません。
逆に欲求に反して資産を減らしてしまった場合は失敗してしまって悲しいという感情が生まれたりもう投資なんてしないと行動を続けられなくなるかもしれません。
このようなサイクルをくるくると回していくことで人間のやる気は少しづつ変化します。
ゲーミフィケーションとアニメーション
前置きが長くなってしまいましたがアニメーションがユーザーのやる気にどのように関係するのでしょうか?
先ほどのサイクルを図にして、ゲーム要素と対応するところを当てはめました。
アニメーションは「称賛の演出」と「即時フィードバック」に対応します。
つまり、ユーザーが起こした行動に対して即座に反応し、アニメーションという形でフィードバックすることでユーザーの達成感や幸福感などのポジティブな感情を刺激し、よりやる気を高められるということですね。
ここで重要なのが、「即時」という点で、人間は起こした行動に対して即時のフィードバックがないとやる気の向上にはつながらないそうです。
Coincheck での事例
Coincheck ではゲーミフィケーション導入の第一歩として、ユーザーの欲求である「資産を増やしたい」という点にフォーカスし、資産を増やすために必ず通る「購入」へのアニメーションを採用しました。
購入完了時に紙吹雪のアニメーションが出るように実装をしています。
残念ながらまだ効果検証はできていないのですが今後追加予定の他のアニメーションや、アニメーション以外のゲーミフィケーションの施策と合わせてどの程度影響を与えられたのか注視していきたいと思います。
最後に
本記事ではゲーミフィケーションが人間のやる気にもたらす影響とアニメーションがどのようにやる気に作用するかをお話ししました。
また上記を踏まえ、例として Coincheck でのアニメーションの取り組みのお話をしました。
今後もアニメーションも含めた様々な取り組みを予定しているので、またその際に効果検証などと一緒にお話しできればと思います!