コインチェックの「技術・採用広報」活動まとめ
この記事はコインチェック株式会社(以下、コインチェック)のアドベントカレンダー3日目(シリーズ1)の記事です。
こんにちは!コインチェックの技術・採用広報運営チームの佐藤です。「コインチェック Advent Calendar 2024 」を通じて、私たちの技術的な挑戦や日々の取り組みを幅広い視点からお伝えしていきます。
今回は、その中でも技術・採用広報にフォーカスし、今年実施した活動内容やその背景について詳しくご紹介します。
技術・採用広報活動の背景と意義
情報不足の解消を目指して
情報発信が不足していると、候補者が企業文化やプロジェクトの詳細を知る機会が限られ、応募のハードルが高くなるだけでなく採用後のミスマッチが発生しやすくなります。また、企業側も自社の魅力を十分に伝えきれず、「どのような仕事ができるのか」「どのような働き方が実現できるのか」といった具体的なイメージを候補者に持ってもらうことが難しいという現状があります。
コインチェックではこの情報不足を解消するため、候補者と直接対話できる場の提供や、企業情報をわかりやすく伝える仕組みの構築に取り組んでいます。これにより企業と候補者の間に透明性をもたらし、双方にとって最適な採用マッチングの実現を目指しています。
技術広報の意義
技術広報は採用活動における重要な役割に加えて、IT業界全体の底上げ※ にも貢献するとても大切な活動であると考えています。私たちが日々利用している多くのサービスやツールは、エンジニアリングの進化によって支えられています。コインチェックもOSS(オープンソースソフトウェア)の恩恵を受けている一員として、その恩返しの意図を持って、自社の知見や技術的な挑戦を外部に発信していきたいと思っています。
技術的なノウハウを共有することで、コミュニティや業界全体の進化を後押しし、他のエンジニアたちが新しいアイデアや手法を得るきっかけを提供することができるようになります。このような活動は技術を中心としたコミュニティの成長に貢献することもできますし、結果的により多くの人々がエンジニアリングの恩恵を受けられる社会づくりに繋がると考えています。
※ IT業界全体の底上げとは主に以下を指しています。
なぜ技術発信が必要なのか?
エンジニアにブログの執筆やイベントの参加、登壇を促進する背景としては、企業とエンジニア個人の双方にメリットがあるからです。採用目的にはとどまらない、個人のメリットを理解していただいた上で、発信の活動に参画いただきたいと考えています。それぞれを以下に整理してみます。
会社としてのメリット
ブランド向上
技術力や専門知識を公開することで、企業の信頼性や専門性を高めることができます。これにより、顧客やパートナーからの信頼が向上し、会社のブランドイメージが強化されます。リクルートメント
技術広報を通じてエンジニアに対する魅力を高めることができます。ブログやイベントを通じて、会社のビジョンやプロジェクトを共有することで、求職者にとって魅力的な技術や職場環境をアピールできます。業界貢献
技術ブログやイベントでの発信は、業界全体に対する知識の普及や技術の進展の手助けになります。自社の知見や経験をシェアすることで、業界の発展を促し企業としての社会的責任を果たすことができます。業界内での企業の存在感が高まり信頼性も増します。社員のエンゲージメント向上
社内での技術的な取り組みや学びの場を外部に発信することは、社員の誇りやモチベーションを高めます。自身の成果や知識が広く認知されることで、社員のエンゲージメントが向上し、より積極的な取り組みが促されます。社内外での認知度が高まることで、社員が会社に対して持つ愛着や忠誠心も深まります。
個人のメリット
知識の共有
自身の知識や経験を他のエンジニアと共有することで、技術コミュニティへの貢献が可能になります。また、外部からのフィードバックを通じて新たな視点を得ることができます。スキルアップとキャリアアップ
技術的な内容を分かりやすく説明するプロセスは、自身の理解を深める良い機会となります。さらに、執筆活動や技術的なプレゼンテーションを通じて、文章力やコミュニケーションスキルが向上し、職業的な成長を促進します。公開されたコンテンツはポートフォリオとして活用でき、自己の専門性をアピールしたり、キャリアの幅を広げることに役立ちます。ネットワーキングと人脈構築
技術ブログやイベントでの発信を通じて、同じ分野で活躍するエンジニアや業界関係者とのつながりを持つことができます。これにより、協力関係や新たなビジネスチャンスを得る可能性が広がります。人脈を築くことで技術的なサポートや助言を得やすくなるほか、キャリアを支援してくれるメンターや一緒に働く仲間と出会えることもあります。
コインチェックではこれら双方のメリットをガイドラインに提示しながら活動が促進できるように進めてきました。特にこの活動は短期的なものではなく中長期的に継続できる仕組みを構築することが一番重要になってきます。これらのメリットを踏まえ、コインチェックでは技術広報の活動を中長期的に継続できる仕組み作りに注力していきたいと考えています。
コインチェックの技術広報活動
コインチェックではブログ記事やイベントを通じて技術的な挑戦やノウハウを発信し、エンジニアが働きやすくチャレンジングな環境であることを伝えています。さらに、これらの活動を通じて、社内外のエンジニアとのつながりを深め、コインチェックの技術力をより多くの方に知っていただくことを目指しています。ここからは、これまでの具体的な活動内容をご紹介します。
発信体制の整備
技術・採用広報をより効果的に進めるためコインチェックでは発信の基盤作りにも注力してきました。特に、情報発信が継続的に実施できることを目標としています。
その一環として、技術ブログ執筆のガイドラインを作成しました。このガイドラインでは、執筆からレビュー、公開に至るまでのプロセスを明確化し、執筆者が迷うことなく記事を完成できるよう工夫しています。具体的には、どのような構成で記事を書くべきか、どのタイミングでレビューを依頼するのかといった執筆者視点の詳細な手順を記載しました。
また、レビューポイントも整理し、レビュー担当者が確認すべき項目(技術的な正確性、内容の一貫性、表現の適切さなど)を具体的に提示しました。これにより、レビュワーにとってもレビュー作業がスムーズになり、必要な確認が漏れることを防ぐ仕組みを整えました。
さらに、Slackチャンネルを活用し、執筆ネタの提案やレビュー依頼を効率的に共有する仕組みを導入しました。記事作成のハードルが下がり、執筆者・レビュワー双方の負担が軽減されました。
こうした体制整備を通じて、技術広報活動全体がスムーズかつ効果的に進むようになり、情報発信の質と頻度を安定的に向上させることができています。これらの取り組みは、発信者だけでなく、レビューや公開に携わるメンバー全員にとって使いやすい仕組みとなり、組織全体で広報活動を支える大切な基盤の第一歩を築くことができました。
Tech Blogやnoteの執筆促進
社内エンジニアに継続的に技術的な発信を行ってもらうことを積極的に支援してきました。エンジニアに自身の知識や経験を共有する場として、Tech Blogやnoteの記事執筆を推奨し、社内外に向けた発信を促進しました。この取り組みは、エンジニアの専門性や挑戦を外部に伝えるだけでなく、社内の技術文化をより開かれたものにし、透明性を高める効果もあります。さらに、執筆を通じて自身の知識を整理し、他のエンジニアと情報交換をする機会も増え、全体的な技術力向上にもつながります。
インタビュー記事の作成
コインチェックの技術広報活動の柱となるのが、エンジニアインタビュー記事の作成です。この取り組みでは、社内のエンジニアがどのような挑戦をしているのかを発信することで、企業文化の透明性を高めることを目指しています。インタビューを通じて、社員一人ひとりの声や技術的な工夫を深掘りし、ブログ記事として公開しました。
インタビューの過程では、執筆者と複数回のレビューを重ね、専門性と読みやすさのバランスを追求しました。また、この取り組みはインタビューを受けるエンジニア自身にとっても、自身の業務を振り返り、新しい発見につながる機会となりました。
技術イベントの開催
コインチェックでは、技術イベントの開催を通じて社外との交流を深めるとともに、技術的な知見を共有する機会を積極的に作ってきました。これらのイベントは、エンジニア同士の学びや意見交換を促進し、コインチェックの技術的な取り組みを外部に発信するための重要な手段です。
たとえば、「RubyKaigi 2024」のリキャップイベントを開催しました。このイベントでは、タイミー、note、そしてコインチェックの3社のエンジニアが、それぞれのRuby開発事例を共有しながら技術的な議論を深めました。
また、タイミー、ログラス、LINEヤフーと4社共同でスクラム開発をテーマにした勉強会も行い、現場でのリアルな課題解決の事例を共有することで、実務に役立つ学びを提供しました。
これらの活動を通じて、技術力の発信だけでなく、他社との連携や外部エンジニアとのコミュニケーションが強化され、コインチェックの技術力を広く知ってもらう機会を作ることができました。
技術カンファレンスへの協賛とエンジニアコミュニティとの交流
コインチェックは、RubyKaigi 2024やRubyWorld Conference 2024にスポンサーとして協賛することで、単にイベントを支援するだけでなく、エンジニアコミュニティとの深い交流を促進したいと考えています。
これらのカンファレンスは、Rubyに関心を持つエンジニアたちが集まり、技術的な知識を共有し、議論を交わす場として非常に重要です。コインチェックの協賛はこうした場に積極的に参加し、技術的な知見を共有するだけでなく、エンジニアたちとのネットワーキングを強化することを目的としています。
初のアドベントカレンダーに挑戦!
「コインチェック Advent Calendar 2024」をスタートします!の記事でも触れましたが、今回のアドベントカレンダーへの参加はコインチェックにとって初めての挑戦です。「2025年に実施できると良いね」と何気なく話していたところ、リーダーの大村さんが「今年からやってみよう!」と背中を押してくれたことがきっかけで実現しました。そして、社内で声をかけてみると、わずか数日でシリーズ2本分の枠が埋まるという驚きの結果に。本当に感動しましたし、チームの力強い一体感を感じる瞬間でした。
この記事はまだアドベントカレンダーの3日目ですが、12月25日までにどんな記事が登場するのか、今から楽しみで仕方ありません。エンジニア、PM、デザイナー、広報といった多様なメンバーが、それぞれの視点でどのような知見を発信していくのか、ぜひご期待ください。
このように発信する取り組みは、組織全体の活気を高めるだけでなく、個々のメンバーが自分たちの仕事に自信を持ち、外部に向けてその価値を伝える良い機会となります。そして、社内外のエンジニアや関係者とのつながりを深め、コインチェックの技術力や文化をさらに磨いていくための基盤にもなります。
コインチェックでは、これからも技術と採用の広報活動を通じて、エンジニアリングの透明性を高めるとともに、IT業界全体の成長に貢献していきます。次の記事もどうぞお楽しみに!