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【技術共有と柔軟な働き方で成長を支える】 コインチェック開発チームの挑戦とサポート体制

コインチェック株式会社(以下、コインチェック)のクリプト入出金開発G チームでは、技術共有を重視しながらメンバー全員が家庭とキャリアを両立できるような柔軟な働き方を整えています。読書会やWorking Agreement会を通じて技術の向上と共通理解を深めるとともに、育休やリフレッシュ休暇の取得も奨励され、誰もが安心してキャリアを積むことができる環境を実現しています。今回は、クリプト入出金開発Gのリーダーである野口さんに、日々の取り組みやチームのサポート体制について詳しく伺いました。

自己紹介をお願いします

コインチェックで「クリプト入出金開発G」のグループリーダーを務めている野口です。私たちが担当する業務は主にブロックチェーン技術を用いた新規プロダクトの開発、新通貨上場、法令対応です。コインチェックのプロダクトは10年以上の歴史があるため技術的負債が蓄積しており、その負債を解消しつつ新しい機能を開発することでシステムの改善と進化を両立させています。

コインチェックに入った理由、働くやりがいなどを教えてください

前職はSIerとして情報システムの受託開発を行っていました。大学でプログラミングを学び、実際にコードを書く楽しさに触れて「これは一生続けられるな」と思い就職を決意しました。しかし、キャリアを積むうちにプロジェクトマネジメントの仕事が多くなり、自分が本当にやりたいことから少しずつ遠のいていくのを感じていました。自分のキャリア志向としては、自らコードを書き、プロダクトを作り上げるソフトウェアエンジニアになることだったので、理想と現実のギャップがとても違和感でした。

そのタイミングで、「せっかくなら事業会社で、自分が直接プロダクトに関わる環境で働きたい」と考え始め転職を検討するようになったんです。その際、あるメルマガでブロックチェーン技術について目にして、「これからインターネットが登場したときのような革新がこの技術でも起こるかもしれない」と思いコインチェックを選びました。

コインチェックでの仕事の魅力は、先進的なブロックチェーン技術に関わりながらも、社会的に重要な法令対応が求められるという2つの異なる側面を同時に経験できるところです。法令対応は確実な運用が必要であり、これはSIer時代に培った技術が活きていますね。一方、ブロックチェーン関連のプロジェクトでは、ユーザーの反応を見ながら改善を重ねていくことが多く、ある程度の柔軟性が求められます。エンジニアとして様々なスキルを必要とされる環境にいることで、自分の成長を日々感じられるのがやりがいですね。

コインチェックに入社されてすぐの頃、SIer時代と大きな違いを感じられた点はありますか?

ええ、かなり違いました。まず、仕事の仕方や開発環境の違いに戸惑いました。SIer時代はずっとWindows環境で仕事をしていましたが、コインチェックではMacが主流です。また、Rubyもコインチェックでの入社後に初めて学びましたし、ブロックチェーンの専門用語も馴染みがありませんでした。転職後は完全に新しい領域への挑戦で、最初の数ヶ月は毎日が試行錯誤の連続でした。とはいえ、コインチェックのエンジニアチームは非常に協力的で、分からないことは丁寧に教えてくれる人が多く、周りのサポートがあったからこそ徐々にキャッチアップできました。

クリプト入出金開発G のチーム構成や特徴について教えてください。

クリプト入出金開発Gは、正社員と業務委託メンバーが混在した構成になっていて、各メンバーが自発的に動ける体制を重視しています。プロジェクトごとに役割を持ち、メンバー全員が主体的に仕事に取り組む環境を整えています。また、私たちのチームは比較的若いメンバーが多く、育休やリフレッシュ休暇の取得も推奨されている点が特徴です。チーム全体が協力し合い、仕事と家庭の両立を大切にしています。実際、育休からの復帰がスムーズに行えるようにサポート体制を整え、メンバー全員が気兼ねなく家庭とキャリアを両立できるよう配慮しています。

育休や長期休暇が取りやすいというのは非常に良い環境ですね。どのようなサポートが行われているのでしょうか?

はい、私自身も昨年の9月から12月にかけて育児休暇を取得した経験があります。復帰後もスムーズに業務に戻れるよう、チーム内での情報共有やドキュメントの整備が進んでいるので安心して休むことができました。また、会議の録音やドキュメント化を徹底することで、誰が抜けてもプロジェクトが止まらないような体制を作っています。チームが各メンバーの家庭状況に応じて柔軟に対応できるようにしていることが、メンバーが安心して育休を取得できるポイントですね。

今のチーム課題と解決に向けた取り組みについて教えてください

ブロックチェーン入出金システムの構築 ー スピードと正確性の両立

クリプト入出金開発Gでは、主に新通貨上場、ブロックチェーン関連の新規事業開発、そして法令対応といった多岐にわたる業務を担当しています。その中でも特に重要な役割を果たしているのが 新通貨上場。これからコインチェックで通貨を扱うために必要なブロックチェーン上の入出金を行えるようにする開発を行っています。

新通貨を上場する際には、その通貨に対応したブロックチェーン入出金機能をゼロから構築する必要があります。ブロックチェーンごとに特性や仕様が異なるため、システム設計に際しては深い技術的理解が不可欠です。Fake Deposit (偽入金)などの不正取引を防止するため、セキュリティ面での綿密な検証も求められます。

ブロックチェーン分野は変化が激しく、次々と新しい概念がうまれるため、日々キャッチアップする姿勢が必須となってきます。たとえば、次々に生まれる新しいブロックチェーンや主要なブロックチェーンのアップデートの内容を把握することが、システムの安定稼働を維持する鍵となっています。

法令対応の難しさ ー 安定性と柔軟性の両立

一方で、入出金周りの法令対応も、クリプト入出金開発Gにとって避けて通れない大きな業務です。暗号資産を扱う企業として、法令で定められた要件を確実に満たす設計と実装が求められます。この領域では、不正取引やマネーロンダリングを防ぐための強固なシステム設計が必須です。また、法令対応の要件は地域や規制機関ごとに異なるため、それぞれの規制を深く理解し、柔軟に対応する能力が必要です。

具体的には、不正対策に備えるために様々なパターンを想定したロジックの構築が求められます。たとえば、異常なトランザクションが検知された際に、リアルタイムで警告を発し、必要に応じて送金を一時停止するような仕組みが挙げられます。また、不正な取引パターンを分析する監視システムを導入するなど、技術的にも高度なアプローチが求められます。

さらに、これらの業務はスピード感が重視されるブロックチェーン開発とは対照的で、堅実で慎重な進行が必要です。たとえば、新しい通貨の開発を進める一方で、その通貨が規制要件を満たすことを事前に確認しなければならず、技術と法務の両側面での検討が欠かせません。このように、法令対応と技術革新という相反する要求をバランス良くこなすことが、エンジニアにとって大きな挑戦となります。

これらの対応はエンジニアに異なるスキルセットを要求します。ブロックチェーン技術のスピード感を維持するだけでなく、法令に準拠した安定的なシステムを作り上げる慎重さと、規制要件の変化に対応する柔軟性が欠かせません。そのため、法務や規制に関する知識の習得、リスク管理能力、そしてチーム内外との効果的なコミュニケーションスキルが必要です。

法令対応は決して簡単な業務ではありませんが、様々な要件を考慮しユーザの利便性が損なわないようなシステム開発が必要なため、エンジニアとしても幅広いスキルを習得できる機会を経験できると考えています。

既存メンバーの技術力を底上げする取り組み

クリプト入出金開発Gでは、ブロックチェーン分野のようなスピード感持って開発する能力、法令対応のような堅実に開発する能力の両面が必要になってきます。 担当する領域の広さもさることながら、エンジニアとして求められる能力の幅も広いため、エンジニアのリソース不足が課題でもあります。 そこで既存メンバーの教育や採用を強化することで、リソース不足の課題を解決しようと試みています。

既存メンバーの技術力を底上げする取り組みとして、まず2ヶ月に一度「読書会」を実施しています。読書会では技術書やスライド資料を課題図書として選び、それをもとに各自の理解を深める場を提供しています。直近の読書会では、LayerXが公開した「LayerX羅針盤 ver 2.2」という発表スライドを活用しました。このスライドは技術戦略や組織作りに関する知見が含まれており、チーム全員で共有し合いながら、どのように技術戦略を立てるべきかや、再現性や属人性の排除といったポイントについて意見交換を行いました。

読書会は、エンジニア間での共通認識を築く良い機会となっており、「ユーザーのことを考えて開発をする」というコメントに多くの共感が集まりました。このように、各メンバーが異なる視点で得た知識をシェアし合うことで、チーム全体の技術力を底上げできると感じています。

さらに、毎週実施している「Working Agreement会」では、開発のルールや方針、コードスタイルのガイドラインなど、エンジニアとしての共通認識を深めるためのディスカッションを行っています。日常業務で直面する技術的な疑問や課題を取り上げ、最適な解決策を見つけるための意見交換をしています。この取り組みにより、チーム内での迷いや疑問が減り、開発効率が向上しています。

また、オンボーディングの一環としてクリプト入出金開発Gでは「チュートリアル動画」を用意し、新入社員のキャッチアップをサポートしています。これらの動画では、クリプト入出金開発Gの業務の全体像を把握しやすいように、当社の暗号資産入出金システムの構成やブロックチェーン上の取引をどのようにシステムに取り込んでいるかなどを講義形式でまとめています。クリプト入出金開発Gの担当範囲は多岐にわたるため、全9回分の動画があります。この動画ではブロックチェーン分野はもちろんのこと、法令対応周りのシステムがどのようになっているかなども説明しています。

このチュートリアル動画によって、新入社員のキャッチアップ速度が大幅に向上しました。以前は動画がなかったので、小さなタスクを通じてキャッチアップしていく方針でした。しかし、この方法をとると全体像が見えず、既存メンバーが都度説明する必要があり、説明コストがかかっていました。動画化することで、既存メンバーの説明コストが減り、新入社員は何度も動画を視聴することで理解を深めることができるため、オンボーディングのコストが大幅に低減しました。

さらに、この動画はCoincheckの社員であれば誰でもアクセスできる場所に保存しています。そのため、他グループでクリプト入出金開発Gの業務を知りたくなった場合でも、動画のリンクを共有するだけでナレッジの共有ができるのは良い点だと思います。チュートリアル動画は新入社員のオンボーディングだけでなく、チーム全体の業務理解の向上にも役立っています。

育休やリフレッシュ休暇から復帰したメンバーにとっても、こうした取り組みが大きなサポートとなっています。復帰後のメンバーがスムーズにチームの最新状況にキャッチアップできるよう、会議で話し合った内容や議論の結果をドキュメント化し、全員がいつでも確認できる体制を整えています。このような仕組みによって、チーム全体が同じ共通認識のもとで効率よく働けるようになり、メンバー間の業務理解も深まっています。

こうした定期的な取り組みが、エンジニアとしての技術力向上と、チーム全体の一体感を生み出し、各メンバーが安心して業務に取り組むための土台を築いていると考えています。

クリプト入出金開発Gでは、変化の激しいブロックチェーン業界において、スピードと正確性の両立を目指しています。同時に、法令対応という社会的に重要な役割を担いながら、エンジニアが成長できる環境を構築しています。今後も教育体制や採用活動を強化し、チーム全体の底力を上げることで、さらなる挑戦に備えています。

最後にチームに興味を持ってくれた人にメッセージをお願いします

私たちのチームは、ブロックチェーンや法令対応といった先進的かつ実践的な分野で貴重な経験が得られる職場です。特に、法令対応は確実な運用が必要ですが、ブロックチェーン技術にはまだ発展の余地があり、エンジニアとして多様なスキルを身に付けることができます。また、家庭と仕事を両立しやすい環境を重視しており、育休制度などを整え、各メンバーがライフステージに応じた働き方を実現できるよう努めています。

ブロックチェーン業界はまだ黎明期ですが、今後さらなる発展が期待されています。新しい技術にチャレンジしたい方、そして家庭と仕事の両立を目指しながらエンジニアとして成長したい方にとって、コインチェックは最適な環境です。ぜひ、私たちと一緒にチャレンジしていきましょう。


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